仕事と愛車

【第9回(後編)】WEBライター/森中 忍さんの『仕事と愛車』


WEBライターの森中 忍(もりなか しのぶ)さんにご登場頂いております第9回『仕事と愛車』ですが、前編では森中さんがWEBライターを始めたきっかけや、WEBライターとしての具体的なお仕事内容をお聞きしました。
後編となる今回は、いよいよ森中さんの「ライター」ではなく「ライダー」としてのお話をお聞きしたいと思います。

森中 忍 × バイクメディア運営

酒井:「森中さん、後編も宜しくお願いします。後編では森中さんの愛車のことを中心にお聞きしていきたいと思いますが、その前に、前編で少しお話が出た『バイクメディア運営』のことをお聞かせ下さい。」

森中さん:「わかりました。私の地元、三重県鈴鹿市は鈴鹿サーキットが近く、学生時代から車やバイクが好きだった私は、19歳からバイクレースを始め、バイクレースを行っていた9年ほどの期間で、バイクやレースに関する知識と経験をたくさん身につけることができました。そして、WEBライターとしての仕事をしていくうちに、自分が持っているバイクに関する情報を自分自身で活かしたい!と考えるようになり、バイクレースに特化したメディアを作り始めたのが最初でした。」

酒井:「私も奈良県出身ですから、鈴鹿サーキットは馴染みがあります。中学校の遠足で行くんですよね。と、私のどうでもよい話はさておき、事前に森中さんが運営されている『モリバイカー』というサイトを拝見しましたが、特にバイクレースに特化している印象は受けなかったような…。」

森中さん:「そうなんです。最初はバイクレースに特化する形で運営を開始しましたが、クライアントワークで仕事を進めていくうちに、バイクに関しての情報メディアが意外と少ないこと、そして情報量が圧倒的に不足していることに気付いたんです。ですので、現在はバイクレースメディアからジャンルを大きく展開し、メカ的な知識やツーリング、レースなど、バイクに関する情報であればなんでもOKの『バイク情報総合メディア』を運営する方針にしています。」

酒井:「専門店から総合商社に!って感じですね。」

森中さん:「ええ。今はほとんどの記事を自分で執筆・編集をしていて、少しずつメディアを大きく育てている段階です。最近はバイクの経験が豊富なライターさんに協力して頂き、自分の持っていない情報の記事も増やすようにしています。ライターさんの中にもバイク好きは意外と多いんですよ。」

酒井:「なるほど。自分でバイクに乗るからこそ面白い記事が書ける!ということもありますよね。」

森中さん:「そうですね。ただ、バイクに関しての知識や経験が豊富だからといって、必ずしもライターとして良い記事が書けるわけではありませんので、しっかり詳報を仕入れて記事に取り入れたりもしています。バイクって車と比べると世の中を走っている台数も少なく、ニッチなジャンルなので、より詳しい情報が求められているんです。」

酒井:「おっしゃるとおり、バイクってコアな世界ですもんね。」

森中さん:「そうなんです。だからこそ、バイクに関する豊富な知識や経験に基づく情報がその人の中に留まることは非常にもったいないですよね。バイクメディアを使って、その人が持っている知識や経験を記事にすることは非常に意義のあることだと私は考えています。」

森中 忍 × ライダー

酒井:「本来はこの辺りで森中さんの愛車についてのお話をお聞きするのですが、少し脱線して、バイクレースについて、もう少しお話をお聞かせ下さい。森中さんがバイクレースに興味を持ったきっかけは何だったんですか?」

森中さん:「直接のきっかけは、高校生の頃に、夏休みの課外授業の一環で『鈴鹿4時間耐久ロードレース』を手伝うイベントに参加したことです。」

酒井:「意外と遅いんですね。レースをされている方って、小さい頃からレースにハマっているイメージがありましたが…。」

森中さん:「先ほどもお話しましたが、私は出身地が三重県鈴鹿市ですので、やっぱり鈴鹿サーキットが自宅からも近く、幼い頃からレーシングマシンの音を聞きながら育ってきました。ただ、だからといって小さい時からレースに興味があったのかというと、決してそうではないんですよ。小さい時はレースがある週末になると『今日はうるさいな〜』くらいにしか思っていませんでした(笑)」

酒井:「せっかく近くに鈴鹿サーキットがあるのに、生意気な子供ですね!笑。話を戻しまして、その高校生のときに参加したイベントで、レースに興味を持ったということですね。」

森中さん:「そうですね。その時に初めてバイクレースを間近で見て、もちろん音と迫力に衝撃を受けたのは言うまでもありませんが、一番衝撃を受けたのが、レースをしている人たちは普段仕事をしているという事実でした。そのときに『これ…もしかして自分にも出来るかも』と感じたのを今でも覚えています。」

酒井:「なるほど。そこからバイクレースの世界に飛び込んでいく訳ですね。」

森中さん:「ええ。高校を卒業して1年間はレース資金を貯めることに専念し、課外授業でお世話になった人のチームでバイクレース活動を始めました。始めはチームのガレージに転がっている80ccの小さなバイクを修理するところからスタートし、チームの先輩と一緒に修理したバイクを持ってミニバイクコースに練習に行っていました。それと同時に鈴鹿サーキットを走る先輩の手伝いをしたりして、ノウハウを学んでいきました。」

酒井:「いわゆる下積み時代ってヤツですね。やはり大変でしたか?」

森中さん:「色々な意味で楽ではなかったですね。サーキットを走り出した時なんて、走り方もわからず、ただ先輩に追いつこうと無我夢中でしたので、練習からとにかく転倒が多かったですね。でもそのおかげか、選手権に参戦してみると意外と戦えるんです。今思えば最初の1年間しっかり下積みが出来ていたからこそ、スムーズにサーキットを走ることが出来たのだと思います。」

酒井:「やっぱり、どの世界でも下積みは大切なんですね。先ほど80ccのミニバイクから始められたと仰っていましたが、その後はどのようなバイクでレース活動を行っていたのですか?」

森中さん:「デビューした時は『HONDA VTR250』で始めましたが、ありがたいことに翌年になると『KAWASAKI ZX-6R』を貸して下さる方とのご縁があり、ST600クラスにステップアップすることができました。そして2012年の鈴鹿4時間耐久ロードレースのST600クラスでクラス優勝を達成したんです。」

酒井:「それは凄いですね!!」

森中さん:「有難うございます。レースを始めるキッカケとなった4時間耐久ロードレースの表彰台に上がれたのは本当に嬉しく、この時の景色は今でも忘れられません。」

酒井:「そこからは順風満帆なレース生活が待っていた訳ですね。」

森中さん:「いいえ、波瀾万丈なレース生活でした!笑。2013年にはバイクを『HONDA CBR600RR』 に乗り換え、本格的にST600クラスに参戦して何度か優勝することもできました。ただ、個人でスポンサーもなくレースをしていたものですから、とうとう資金難が襲ってきました。」


写真:CBR600RRでサーキットを走る森中さん

酒井:「やはり、レース活動には資金が必要ですからね。」

森中さん:「ただ、幸いにも翌年には国際ライセンスに昇格することが出来たので、思い切って1年間レース活動を休止することにしました。そして翌年から少しづつレースを再開し、全日本選手権に参戦することを決意します。」

酒井:「全日本選手権に参戦ですか!?働きながらですよね??」

森中さん:「ええ、正直なところ働きながら全日本選手権に参戦するのは非常に大変でした。でも、当時勤めていた会社の上司がすごく応援してくれていて、有給の調整など、積極的に協力して下さったおかげで、なんとかやりくり出来ました。」

酒井:「周りの協力があってこそのレース活動ということですね。」

森中さん:「その通りですね。全日本選手権は文字通り全国のサーキットで行われますので、仕事が終わってそのまま移動し、レースが終わったら仕事場に直行する生活を繰り返していました。それでも日本のトップライダーと一緒に戦える日々は、非常に充実していました。周りのサポートもあり、2年間参戦した中で得たものは現在でも活きています。」

森中 忍 × HONDA CBR600RR

酒井:「お仕事の話から脱線して、バイクレースのお話まで伺って参りましたが、森中さんには、ぜひ愛車紹介としてレースを共に戦ってきたマシンを1台ご紹介頂きたいのですが。」

森中さん:「分かりました。私はこれまでZX-6R、YZF-R6、BMW S1000RRなど、様々なメーカーのバイクを乗ってきましたが、やっぱり一番乗りやすいと感じたのはHONDAのバイクです。ですので、今回の愛車紹介では『HONDA CBR600RR』をご紹介したいと思います。」

酒井:「やっぱり、世界のホンダ!なんですね。」

森中さん:「4時間耐久レースで優勝したときこそKAWASAKIのバイクでしたが、地方選手権を初優勝した時もCBRでしたし、最後に全日本選手権を一緒に戦ったバイクもCBRです。CBR600RRというバイクは、タンクもコンパクトでハンドル位置も近く、自由度が非常に高くなっているんです。」

酒井:「噂にたがわず、良いバイクなんですね。逆にCBR600RRの悪いところってありますか?」

森中さん:「う~ん、唯一の欠点はリアサスペンションの機構が『ユニットプロリンク』なので、走行中のリアの動きが感じ取りにくいことですかね。でも、その分フロントの旋回性は非常に高く、1次旋回が非常に優れています。個人的に一番長く所有したバイクで、良い時も悪い時も一緒に過ごしてきた良き相棒です。」

森中さんの愛車データ

メーカー: HONDA
車種: CBR600RR(ST600クラス仕様)
年式:2013年
排気量:600cc
酒井コメント:このCBR600RRというバイクは、他のSSに比べるとオーナーの平均年齢が若いそうです。私の周りにも、CBR600RRで大型デビューした人がいますが、初心者からベテランライダーまで、幅広く包み込んでくれる完成度の高いバイクだと思います。余談ですが、私のようなオジサン世代でCBRといえば、やっぱりニダボ(CBR250RR)とヨンダボ(CBR400RR)を真っ先思い浮かべます。若いころに友人のヨンダボを借りて走ったことがありますが、あのタンクを抱え込むようなライディングポジションは今の私にはキツイかな?


写真:森中さんの愛車CBR600RR

WEBライター × HONDA CBR600RR

酒井:「森中さん、本日は長い時間有難うございました。」

森中さん:「こちらこそ、有難うございました。こうして自分自身のことを詳しく話す機会は滅多にないので、改めて自分を見つめなおすことができて、有意義な時間でした。」

酒井:「そう言っていただけると、私も嬉しく思います。それでは最後にお聞きします。WEBライター森中 忍さんとHONDA CBR600RRとは、どういった関係性だと思いますか?」

森中さん:「私にとってHONDA CBR600RRは、『育ての親』だと思います。」

酒井:「バイクが『育ての親』ですか??」

森中さん:「はい、そうです。このバイクは素直なハンドリングで、ライダーの動きにしっかり答えてくれます。しかし、反対にライダーが導いてあげないと速く走れませんので、『ライダーをしっかり育ててくれるバイク』といえます。そして、こうして鍛えられたライディングテクニックは、今のWEBライターという仕事にも大いに活かされています。まさに私にとっての『育ての親』です。」

酒井:「なるほど。今の森中さんがあるのは、CBR600RRのおかげと言っても過言ではありませんね。森中さん、有難うございました。」

森中 忍さんのご紹介

名前:森中 忍(もりなか しのぶ)
プロフィール:19歳の時から地元鈴鹿でバイクレースを始め、鈴鹿4時間耐久ロードレースや全日本選手権に参戦。現在はバイクレースで培った経験・知識を生かしてWEBライターとして活躍。自身でバイク情報メディアを立ち上げ、また、自分の強みが活かせるWEBライターやメディア運営のノウハウを教える講師としても活動中。
運営サイト:モリバイカー( https://mori-bike.com/

スポンサーリンク

コメントを残す

*

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)