税金雑学

懸賞金に係る税金と一時所得【前編:競馬のハズレ馬券は経費?】


先日のニュースで、競馬のハズレ馬券の購入代金が「経費」として認められるか否かが争われた脱税事件(*)の上告審で、最高裁が「ハズレ馬券=経費」と認める判断をする見通しとなったと出ていましたね。判決そのものは2015年3月10日に言い渡されるのに、どうしてその様な見通しになったかと申しますと、二審の結論を見直す際に必要な弁論を開かずに判決が言い渡されることが決まったので、二審と同じく「ハズレ馬券=経費」と認められることで間違いないでしょう!と見た訳です。

(*)独自の競馬予想ソフトを駆使してネットで馬券を大量購入していた元会社員の男性が、2007年~2009年の間に合計約28億7千万円を賭けて得た30億円余りの払戻金を申告せず、約5億7千万円を脱税したとして所得税法違反の罪に問われた脱税事件で、一、二審判決は、ハズレ馬券を「経費」と認めて脱税額を大幅に減らし、検察側が上告しています。
この元会社員の男性は一審で、自分の儲けは約1億4千万円なのに対して追徴税額がその4倍以上の約5億7千万円であるのは納得できない!と、ハズレ馬券の購入代金約27億4千万円を「経費」に含めて税額を計算すべきだと主張した結果、一審判決では、この男性のような馬券の大量購入は「娯楽の範囲を超え、営利目的の継続的な資産運用とみることができる」と判断し、追徴税額を約5千万円に減額し、懲役2カ月執行猶予2年の判決を言い渡しました。なお、その後の二審もこれを支持する判決となっています。

ただし、今回の裁判で「経費」として認められたのは、「娯楽の範囲を超えて、資産運用の一種」と認められるほど継続的にかつ多額馬券を購入したケースのハズレ馬券であって、娯楽目的で一般の競馬ファンが購入したハズレ馬券は、これまで通り「経費」として認められませんので、ご注意下さい。

次回は懸賞金に係る税金と一時所得【後編:宝くじが当たったら?】として、一時所得の基本的な考え方などをご紹介したいと思います。お楽しみに。

JRA
写真:JRA公式Facebookページより

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