前回の【基本編】の記事では、「１．残高試算表と決算書は作成目的が違う」「２．残高試算表の勘定科目は自由に設定して良い」「３．自店に合った勘定科目体系を設定することが重要である」という３つの基本事項をご説明しました。
今回は、これらの基本事項を踏まえたうえで、実務上はどのような科目体系を設定すれば良いのかを具体的にご紹介していきたいと思います。
科目設定実務１：項目ごとに勘定科目を分ける方法
前回の【基本編】の記事の中で、残高試算表は「業績把握を目的とした内部資料」として作成されるものであることを説明しました。
つまり、残高試算表の科目体系を設定する際には、その残高試算表が、経営判断に役立つ情報を的確に示す資料となるように心掛ける必要があります。
では、具体的にどのように科目体系を設定していくのか、とある中古車販売店の売上に関する勘定科目を例にしてご紹介していきたいと思います。
この中古車販売店は、売上に関する項目を全て「売上高」として処理（仕訳）していました。
しかし、それでは経営者の方が後から残高試算表を見ても、売上高の合計額しか分からず、自分のお店がどの分野でどの程度の売上を上げているのかが全く把握することができません。
そこで私たちは、売上項目ごとに勘定科目を設定する方法を提案しました。
項目は、お店の規模や業務範囲によって様々ですが、このお店は輸入車に力を入れていましたので、国産車売上高と輸入車売上高を分けることにしました。
こうすることによって、自店の売上の構成比率が把握しやすくなるので、今後の経営に役立てることができますね。
科目設定実務２：各科目に補助科目をつくる方法
補助科目とは、その名のとおり勘定科目を補助する役目を担う科目のことで、その主な活用方法としては、「細目毎に補助科目を設定する方法」と、「相手先毎に補助科目を設定する方法」の２つがあります。
勘定科目の特性や、自身が管理・把握したい内容に応じて、この２つの方法を上手く使い分け、活用することで、残高試算表がより読みやすくなるので、ぜひご活用下さい。
これは、内容や目的は、先ほどの中古車販売店と同様のケースで、各科目に補助科目をつくる方法を採用した場合です。
なお、この中古車販売店は、車検整備や板金塗装を外注しており、どの整備工場に年間いくらくらいの業務を外注しているかを把握したいとの要望がありましたので、「外注費」という勘定科目には取引先別に「補助科目」を設定して管理することにしました。
「項目ごとに勘定科目を分ける方法」と比較しますと、この「各科目に補助科目をつくる方法」の方が残高試算表をシンプルに仕上げることが出来ますので、科目毎に使い分けると良いでしょう。
以上、ご参考頂けましたでしょうか？
私たちは、ただ単純に税金の計算や申告書の作成を行うだけでなく、経営相談や業務効率化のお手伝いも積極的に行う提案型の税理士事務所です。
今回のような勘定科目体系の見直しも、サポート業務の一環として行っておりますので、今回の記事をご覧頂いて気になる項目があった方は、ぜひ気軽にご相談下さい。
