自動車業界の税務ポイント

自動車業界(中古車販売店や車検整備工場)における経理処理ポイント【前編】


自動車業界に係る会計税務業務に携わっておりますと、やはり「経理処理」に関するご質問と「節税や税務調査」に関するご質問が多い気がします。
そこで今回は、ケース毎の詳細な経理処理ではなく、これさえ押さえておけば問題なし!という経理処理のポイントと申しますかコツの様なものを伝授したいと思います。

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経理処理の目的

あくまでも個人経営者の方や中小企業経営者の方が前提となりますが、経理処理を適正に行う目的は「自社の経営状況を適切に把握すること」「適正な税務申告を行うこと」の2つに尽きます。
要は、この2つの目的を達成すれば良いだけなので、難しいことは考えなくて大丈夫です。
なお、前者の「自社の経営状況を適切には把握すること」については、皆様の経営状況などによって様々な方法がありますので、個別にご相談して頂くとして、今回は「適正な税務申告を行うこと」という目的を達成する為のポイントを「法人税または所得税」消費税等」という観点からご説明します。
(ちなみに上場会社などは、投資家さんや関係者の方に対して会社の業績を適切に報告しなければならない為、厳しいルールの下で経理処理を行う必要がります。)

法人税(会社)または所得税(個人)の観点から

法人税や所得税は「利益(儲け)」に対して課税される税金です。
つまり、この法人税や所得税を適正に計算する為には、「利益(儲け)」が正しく計算されている必要がある訳です。
それでは、最も質問の多い「お客様から預かったもの」に係る経理処理について、簡単な例示を使って考えてみましょう。

車検整備の依頼があった㈱A自動車整備は、お客様から自動車重量税などの法定費用10万円車検整備代(代行料含む)15万円合計額25万円を受け取りました。もちろん、法定費用については、お客様に代わって支払っています。
この場合に考えられる経理処理の方法については、次の2通になります。

パターン1:立替金経理(預り金経理)

まず、お客様に代わって支払った10万円の法定費用については、あくまでもお客様が負担すべきものなので「立替金」として経理処理します。
そして、お客様から25万円を受け取った際には、10万円分は「立替金」の回収として、15万円分を「売上高」として経理処理します。
その結果、立替金はプラスマイナスでゼロとなり、㈱A自動車整備「利益(儲け)」15万円となります。
(ちなみに、先にお客様から法定費用を受け取った場合には、「預り金」として経理処理をして、お客様に代わって法定費用を支払った際に「預り金」の支払として経理処理を行うこととなります。)

パターン2:両建て経理

まず、お客様に代わって支払った10万円の法定費用については、自社利用の車と同じ様に「租税公課など」として経理処理します。
そして、お客様から25万円を受け取った際には、その全額を「売上高」として経理処理します。
その結果、㈱A自動車整備「利益(儲け)」は25万円の「売上高」から10万円の「租税公課など」を差し引くことにより15万円となります。

結果は同じ

ご覧頂いた様に、パターン1でもパターン2でも最終的な「利益(儲け)」同じ15万円になりましたので、どちらの経理処理の方法を採用したとしても、㈱A自動車整備の法人税は適正に計算されます。
もちろん、パターン1の経理処理の方が望ましい訳ですが、難しく考えすぎて誤った経理処理を行うよりは、皆様が分かりやすい無理のない方法で経理処理を行う方が「適正な税務申告を行うこと」という目的を達成することに繋がります。

失礼な表現かもしれませんが、私たちは、お客様の経理レベルに合わせた無理のない経理処理方法をご案内しておりますので、日々の経理処理について、少しでも不安に思うところがあれば、気軽にご相談下さい。

それでは、次に「消費税等」の観点から…と書きたいところですが、予想以上に記事が長くなってしまったので、「消費税等」のお話は次回の記事に持ち越したいと思います。

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