自動車業界の税務ポイント

マスクやアルコール消毒液の在庫の取り扱い(損金算入時期は?)


最近では衣料品メーカーから洗濯可能なマスクが発売されたり、ドラッグストアやコンビニでも普段通りマスクを購入することができたりと、新型コロナウイルスの感染拡大当初の品薄状態は解消されていますが、従業員のためのマスクや店舗用のアルコール消毒液を一定量ストックしている店舗が殆どだと思います。

今回は、こうした直ぐに使用することのないマスクや消毒液は、どのタイミングで経費扱いにすべきか(損金算入されるのか)について考えてみたいと思います。

原則は使ったときに損金算入

マスクやアルコール消毒液は、いわゆる「消耗品」と呼ばれるものですので、これらを実際に使用したタイミングで損金算入することが原則的な取り扱いとなります。

経理処理としては、購入時には「消耗品費」として費用計上をしておいて、期末時点で残っている未使用分を「貯蔵品」に振り替える方法が一般的です。

原則があれば例外も…非常用品の特例

新型コロナウイルスの感染が拡大するより前から、地震や台風などの災害時における非常用の飲料や食料品を備蓄している店舗も多いと思います。

このようなケースについては、国税庁質疑応答事例「非常用食料品の取扱い」において非常用食料品は、備蓄時(=購入したタイミング)に損金算入にしても良い!と回答されています。

「非常用食料品の取扱い」

<照会要旨>

当社は、地震などの災害時における非常用食料品(長期備蓄用)としてフリーズドライ食品1万人分2,400万円を購入し、備蓄しました。このフリーズドライ食品は、酸素を100%近く除去して缶詰にしたもので、賞味期間(品質保証期間)は25年間とされていますが、80年間程度は保存に耐え得るものといわれています。このように長期間保存のきくものであっても、購入時の損金の額に算入して差し支えありませんか。
なお、当該食品の缶詰1個当たりの価格は、その中味により1,000円(150g缶)~6,000円(500g缶)です。

(注) 従来のものは、その品質保証期間が2~3年であるため、当該期間内に取り替えていますが、その取替えに要する費用は、その配備時の損金の額に算入しています。

<回答要旨>

備蓄時に事業供用があったものとして、その時の損金の額(消耗品費)に算入して差し支えありません。

理由1.
食料品は、繰り返し使用するものではなく、消耗品としての特性をもつものであること。

理由2.
その効果が長期間に及ぶものであるとしても、食料品は、減価償却資産(法人税法施行令第13条)又は繰延資産(法人税法施行令第14条)に含まれないこと。

理由3.
仮に、当該食品が法人税法施行令第10条第6号((棚卸資産の範囲))に掲げる「消耗品で貯蔵中のもの」であるとしても、災害時用の非常食は、備蓄することをもって事業の用に供したと認められること。

理由4.
類似物品として、消火器の中味(粉末又は消火液)は取替え時の損金として取り扱っていること。

本件の新型コロナウイルス感染拡大を防止する目的で購入したマスクやアルコール消毒液についても、この非常用食料品に類似するものと考えられるため、これらを購入したタイミングで経費扱いにして問題ありません。

非常用品以外はどうなる??

地震、台風そして新型コロナウイルス感染拡大といった災害のための備蓄品以外にも、注文書用紙や軽作業用の使い捨て手袋など、店舗に常備している消耗品は多数あると思います。こうしたもののうち、毎期おおむね一定数量を購入し、かつ、経常的に消費するものについては、購入したタイミングで経費扱いすることが認められています。

ただし、この処理方法を採用する場合には、毎期継続してその処理方法を採用する必要があるので、ご注意下さい。

「法人税法基本通達2-2-15(消耗品費等)」

消耗品その他これに準ずる棚卸資産の取得に要した費用の額は、当該棚卸資産を消費した日の属する事業年度の損金の額に算入するのであるが、法人が事務用消耗品、作業用消耗品、包装材料、広告宣伝用印刷物、見本品その他これらに準ずる棚卸資産(各事業年度ごとにおおむね一定数量を取得し、かつ、経常的に消費するものに限る。)の取得に要した費用の額を継続してその取得をした日の属する事業年度の損金の額に算入している場合には、これを認める。(昭55年直法2-8「七」により追加)

(注) この取扱いにより損金の額に算入する金額が製品の製造等のために要する費用としての性質を有する場合には、当該金額は製造原価に算入するのであるから留意する。

安心・安全な店舗づくり

私は常日頃から「お客様が入店しやすい店舗づくり」を推奨して参りましたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により「お客様が安心して入店できる安全な店舗づくり」が求められる時代となりました。

自動車・バイク業界も例外なく新型コロナウイルスの影響により厳しい経営を強いられている状況にあるかと思いますが、「ウィズ・コロナ」の環境下だからこそ、今まで以上にお客様のことを第一に考えた対応が求められています。

 

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