自動車業界の税務ポイント

クルマ屋&バイク屋の節税対策のはなし

個人の確定申告業務がひと段落したと思ったら、これから5月末にかけては法人様の決算業務に追われる日々が続きます。

何だか一年中が繁忙期な気がしなくもないですが、それもこれも業務をご依頼頂く顧問先様あってのことですので、感謝感謝の毎日です。

そこで今回は、そんな顧問先様、そして日頃から私たちのHPをご覧頂いている方たちのために、「法人の節税」について整理してみたいと思います。

3月決算が多い理由

いきなり余談からスタートしてしまいますが、我が国の企業の約20%は3月決算法人であると言われています。

なぜ、日本の企業は3月決算を採用するケースが多いのか、考えてみました。

もちろん、企業ごとに〝大人の事情〟があるのだと思いますが、主な理由としては、

・国や地方公共団体の会計年度が3月だから

・日本の学校は4月入学、3月卒業だから

・税制改正が4月から適用されるから

といったところでしょうか。

いずれにしても、決算月は〝任意に設定〟できますので、決算月の決め方に迷っている方がいらっしゃいましたら、ぜひ気軽にご相談下さい。

節税と脱税の違い

節税とは、「適法(適正)」に、税金(税負担)を減らすことです。

脱税とは、事実を隠したり、嘘をついたりして、税金を不当に逃れることです。

経営者の方の中には、「節税→節約→セコイ」という考えがあり、あまり節税対策を行わない方もいらっしゃいますが、「節税=経営に役立つもの」と考えるべきだと私たちは考えています。

これからご紹介する節税手法は、もちろん適法に正々堂々と実行することができる内容ですので、安心してご活用下さい。

クルマ屋さん、バイク屋さんの節税対策(法人)

ようやく本題に入りますが、その前に1つだけ注意点がございます。

これからご紹介する節税対策は、あくまでも一般的な内容となります。

節税対策は、その組み合わせが重要です。

自社の方針や状況に応じたベストな節税対策を最適に組み合わせてこそ、最大限の節税効果が発揮されますので、何でもかんでも、対策すれば良い訳ではありません。

毎月払っているものを年払いに変更しよう

店舗の家賃や置き場の地代など、1年以内に役務提供を受けるものは、本来は前払費用として計上すべきものでも、支払った事業年度で全額を費用計上することが認められています。

例えば、3月決算の法人が店舗の家賃を1年分(4月~翌3月)決算月の3月に前払いしたとします。

この場合、これまで毎月支払ってきた分と、決算月に1年分前払いした分を合わせて、最大で24ヶ月分の家賃を、その事業年度の費用とすることができるという訳です。

なお、この節税対策には、色々と要件があり、思わぬ落とし穴にはまってしまう可能性もありますので、必ず顧問税理士に相談してから実行するようにして下さい。

社宅制度を導入しよう

法人が自己所有または賃借している家屋やマンションを「社宅」として役員や従業員に貸し付けた場合、一定額以上の家賃を役員や従業員から徴収していれば、「実質的に会社が負担している部分」について、給与課税の対象となりません。

住宅手当として給与を増額すると給与課税の対象となるので、個人側で所得税、住民税、社会保険料の負担が、法人側でも社会保険料の負担が増えてしまいます。

色々と誤解の多い節税手法ですが、この「給与課税の対象にならない」という点こそが、この社宅制度を活用した節税対策のポイントです。

不用資産を有姿除却しよう

簿記の借方・貸方をご存知の方はイメージして頂きたいのですが、節税のために作りたい「費用」は借方にありますよね。

つまり、「何とか費用を作れないかなぁ…」と考えるときには、同じく借方にある「資産の部」を眺めて、費用化できるものは無いかと検討するのです。

クルマ屋さんやバイク屋さんでは活用する機会が少ないので、今回は紹介を見送りましたが、「金銭債権の貸倒れ処理」「棚卸資産の評価損」などが、これに該当します。

そんな資産の費用化の中から今回ご紹介する節税対策は、固定資産の「有姿除却」です。

通常、「除却」という言葉は、資産を廃棄処分した際に使われるもので、会計・税務上も、そのタイミングで「固定資産除却損」を計上することになります。

これに対して、「有姿除却」とは、読んで字の如く、姿が有る状態にも関わらず除却してしまおうという訳です。

税務上、まだ資産として保有はしているものの使用価値がなく、もう使うことはないことが明らかなものは、現状有姿のまま「固定資産除却損」を計上することが認められていますので、決算時には固定資産台帳に必ず目を通し、有姿除却ができるものはないかを確認をすると良いでしょう。

経営セーフティ共済(倒産防止共済)に加入しよう

私たちは「どうさんぼう」と呼んだりもしておりますが、正式名称は「中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)」といい、中小企業の連鎖倒産を防ぐために設けられた共済制度です。

掛金が100%費用扱いになる制度ですので、節税対策として非常に有用に活用することができます。

詳しくは、過去の記事をご覧下さい。

<2017.09.28>
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)を活用した節税対策と注意点

家族を役員に追加しよう

同族経営の場合などにおいては、経営のことなどをご家族に相談されるケースも多いと思います。

そのような場合には、そのご家族の方を役員に追加することで、役員報酬を支払うことが可能となります。

もちろん、業務実態がなかったり、役員報酬の金額が不相当に高額だと問題ですが、定期的に役員会を開催して記録を残すなど、きちんと管理をしておけば、何ら問題なく節税効果が期待できます。

旅費規程を作成しよう

車両仕入のため、出張が多い会社では、「旅費規程」を作成して、適正に旅費日当を定めることによって、当該旅費日当を費用にすることができます。

この旅費日当は、受取った側で給与課税の対象とはならず、支払った法人側では消費税の課税仕入をとることが可能(海外出張を除く)であることから、一定の節税効果が期待できます。

生命保険を上手に活用しよう

生命保険を法人で活用した場合、様々な効果が期待できるのですが、その中でも「課税の繰延べ」による節税効果は非常に有効です。

ここでの詳しい説明は割愛させて頂きますが、保険屋さんの言いなりにならず、必ず顧問税理士に相談をしたうえで、保険導入を進めるようにして下さい。

保険加入と設備投資の前には税理士に相談!!

これは鉄則です!!

事業年度を変更しよう

最初の余談が実は余談ではなく、ここと関連していました。

実は、事業年度を変更することで節税になるケースがあります。

ひとつは、余談のところでも触れた税制改正の影響。

大体の税制改正は、「●年4月1日以後最初に開始する事業年度から適用する」というパターンが多いので、3月決算の会社だと翌期から税制改正の適用を受けることになるのですが、2月決算に変更すると、翌期(3月1日~2月末)は、まだ税制改正の影響を受けないのです。

実は、2月決算の法人の中には、元々は3月決算だった法人が意外と多かったりします。

もうひとつは、何らかの理由で、まとまった利益が単発的に計上されることが明らかな場合です。

この場合は、その利益が発生する前に事業年度を切って(短縮して)、翌期1年かけてじっくり時間をかけて節税対策(役員報酬を増額するケースが殆ど)を行うと良いでしょう。

ちなみに、事業年度の変更は、臨時株主総会を開催して、その議事録を添付して「異動届」を税務署・都道府県・市町村に提出するだけで手続き完了ですので、とても簡単です。

必要なものを購入しよう

いわゆる「少額減価償却資産の特例」ってヤツです。

30万円未満であれば、パソコンなどの資産であっても、全額費用処理でOK!という特例なので、例えば実効税率が34%だとすると、その資産が34%offで購入可能!と考えると良いでしょう。

ただし、事業年度あたり300万円までとなっている点と、不必要なものを買っては何の意味も無いという点には注意して下さい。

パソコンなど、いずれ買う予定だったものがあれば、34%offで買えるタイミングで買っておこう!という考え方がベターです。

従業員のためにお金を使おう

国や地方公共団体に税金を納めるくらいなら、従業員に還元してあげようではないか!という考えに基づく節税対策です。

ただ、まずは会社の資本の部を強くすることが先決なので、いわゆる中小企業の場合には、繰越利益剰余金が2,000万~3,000万円程度プールされてから実行した方が良いと思います。

■決算賞与の支給■

決算時点では未払いであっても、次の3つの要件を満たせば、その決算に係る費用となる賞与(=決算賞与)により、節税対策を行うことができます。

<決算賞与の要件>

・決算日までに支給額を、同じ時期に支給する全ての従業員に対して通知していること

・上記1で通知した金額を、決算日の翌月末までに全額支払うこと

・通知した金額について、今期で未払賞与として費用計上していること

事前通知をするためには、きちんとした業績管理や利益予想が必要となりますので、日々の経理の重要性を再認識して頂けますと幸甚です。

■社員旅行の実施■

社員旅行の費用を法人が負担した場合、一定の条件はありますが福利厚生費として費用処理することができます。

具体的な条件としては、

・旅行期間が4泊5日以内であること

・旅行に参加した人数が全体の人数の半分以上であること

・会社が負担する旅費の額が、社会通念上妥当な金額であること

といった内容です。

以上、最後は福利厚生に関する内容について触れましたが、「健康診断の実施」「中小企業退職金共済制度を利用した従業員の退職金準備」など、節税と従業員の福利厚生は密接に関係してきます。

いかがでしたでしょうか?

冒頭に記載した内容に繰り返しとなりますが、節税対策は組み合わせが重要です。

税負担が重くなってきたと感じている方がいらっしゃいましたら、ぜひ気軽にお問合せ下さい。

このエントリーを Google ブックマーク に追加
[`yahoo` not found]
[`evernote` not found]

中古車販売の実務が1冊の本になりました

直営サイトリンク

『いまさら人に聞けない「中古車販売業」の経営・会計・税務Q&A』


中古車販売店の経営・会計・税務について、詳しく、そして分かりやすく書かれた『中古車販売業の実務に携わる方の必携書』が大好評発売中です。
中古車販売店の経営者の方や経理担当者の方だけでなく、中古車販売店を顧客に持つ会計事務所担当者の方やこれから中古車販売店の開業を予定している方にも、ご活用いただける1冊となっています。

詳細はコチラ

コメントを残す

*

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)